スポーツアナリティクス

スポーツアナリティクスジャパン2022に参加してきた!

今年も日本スポーツアナリスト協会が毎年主催しているカンファレンスである、スポーツアナリティクスジャパンに参加しました!

自身は午後からオンラインでの視聴。今年はスポーツアナリストど真ん中のセッションを中心に視聴しました。45分のセッションを一方的に聞くだけでは不完全燃焼なので、ぜひ意見交換しましょう〜という気持ちでこの記事を書きました!
備忘録として思ったことをつれづれなるままに書いていきます。

なお、リアルタイムで視聴したセッションは以下のとおりです。

  • アナリストの新たなポジショニング・ビジネスモデル
  • アナリティクス導入で「体育」の楽しさを作れるか? ~小学校教育×ICT事例から考える~
  • 現役アナリストの苦悩と野望 “Sports Analyst Spotlight”
  • Sports Analyst Meetup の紹介
  • スポーツアナリティクスの領域整理
  • クロージング

以下、セッションごとに書いていきます!

アナリストの新たなポジショニング・ビジネスモデル


サッカーアナリストの杉崎さんとザスパクサツ社長の石井さんによるセッション。

データスタジアム→Jチームアナリスト→独立、というこれまでの杉崎さんのキャリアを中心に話が展開されました。

まず、個人的に面白いと思った視点が。

  • セッション中、アナリストのキャリアとして、主に監督などの別ポジションがステップアップ先として捉えられていたこと。
  • 上記を前提に、アナリストとして独立(おそらくクラブ専任でないという意味で)した杉崎さんが稀有な例として議論が展開されていたこと。

テクニカルコーチが分析を担ってきたという競技の色合いも強いと思いますが、アナリストとしての専門を尖らせていく方向というのは、まだまだメジャーな選択肢ではないのかなと感じられました。

なおこの点について、杉崎さんは様々な選択肢があると考えているようで、自分の専門性を鑑みながらステップアップしていけば良いのではというお話をされていました。もちろんアナリストを初手として監督になることもできそうだ、という認識だそうです。

アナリストになりたいと考えている人は、アナリストになった先のことまでイメージできるとより良いロールモデルが見つかって良いかもしれません

 

次に今後のビジネスモデルについて、以下の点が挙げられていました。

  • プロ選手とパーソナル契約する形
  • 外部からクラブと連携してアナリティクスのノウハウをチームに入れていく形

特に1つ目は野球でNEXT BASEさんがやられている形に近いのかもしれません。選手年俸の違いや競技性の違いもありますが、サッカーのようなチームスポーツでどこまでパーソナルアナリストの需要が高まっていくのかは今後注目したいと感じました。選手側の意見も聞いてみたいですね。

2つ目については、データスタジアムさんのような役割になるのかな?と感じました。実際にデータスタジアムで働いていた杉崎さんに、データスタジアムさんの事業との違いや役割分担のイメージなどを詳しく伺いたかったなぁと感じました。外から見るのと中から見るのではイメージが違うのかもしれない。

 

アナリティクス導入で「体育」の楽しさを作れるか? ~小学校教育×ICT事例から考える~


SPLYZAさんセッション。公立小学校の体育教師の大橋さん、小溝さんの2名がメインで登壇。モデレーターはおなじみ博報堂の森永さん。

スポーツアナリティクスの学校教育導入は個人的にすごく興味のあるトピックだったのですが、非常に良いセッションでした!(森永さんの素晴らしいモデレートにも感動!)

体育といえば、どうしても運動をすることに焦点があたり、運動ができる人がヒーローとなる科目。好き嫌いがはっきり別れ、大人になってからは体育の授業を理由にスポーツが嫌いになったという人の話をよく聞くようになりました。

そんな中で、大橋先生は、SPLYZAを体育に導入した事例を紹介。跳び箱を例に、児童がツールを使い、それぞれの視点で良い点悪い点を議論しながら、自分たちで言語化していく。これによりスポーツを観る目、”観察力”が養われることを目指しているとのこと。

このような事例紹介では、実際の効果検証が行われていないまま話が進むケースも多いのですが、Ai Growを使っての教育効果の検証をされているとのことでした。こちらの結果の詳細も詳しく聞きたいところです。(どこかで公開されているのかな?)

小溝先生は、学校現場でのスポーツ観戦による児童の感動体験の創出について事例を紹介。

フェンシング協会との取り組みでは、実際にフェンシングを体験する子は代表の児童一人でありほとんどの子が観戦する状況、またルールも全くわからない状況でありながら、子どもたちが熱狂するに至ったプロセスについて説明。大学院でこちらをテーマに研究をされていたそうです。

また、先の北京五輪で授業でフィギュアスケートを児童と視聴した際のエピソードを。

その際に工夫したのが、ジャンプの種類や得点について事前に説明をするということ。フィギュアスケートはルールが難しく、どのように見たらよいかわからないというのはよく聞く話です。それ故に、とりあえず目の前のジャンプの成功可否に一喜一憂してしまいます。

とはいえ、最初からジャンプ以外を見るというのも難しいところ。しかし、ジャンプに着目するにしても、1つ1つのジャンプがその選手にとってどの意味を持つのかは選手の取る戦術によっても異なってきます。

小溝先生は、このあたりを可能な限り児童にインプットしたそうです。そうすることで、児童はよりひとつのジャンプに特別な思いを持ちながら観戦することにつながり、より強い感動体験の創出につながったそうです。

フィギュアスケートはルールがわからないから面白くない!という意見もよく聞いていたので、この話は嬉しかったです。

森永さんもおっしゃっていましたが、スポーツアナリティクスの学校応用は部活などの限定的な文脈が多い印象でした。今回の事例はスポーツアナリティクスの幅を更に広げる非常に良い取り組みだと思いました!個人的にベストセッション!(全部聞いてないけど)

現役アナリストの苦悩と野望 “Sports Analyst Spotlight”


アナリストの認知拡大と価値創出のために新たに立ち上げたSports Analyst Spotlightの設立についてなど、ラグビー・バレー・ホッケーの若手アナリスト3名が登壇するセッション。

職業としての認知度の低さやなりたい人がいないなどの問題意識を持ち、Spotlightの組織を立ち上げたそうです。過去4回ほど行ったイベントでは参加者は平均して300人ほどだそうで、少し伸び悩んでいるとのこと。

僕自身も過去何度か視聴しましたが、現場での苦労やキャリアの悩みについては、似たような仕事をしていた身として非常に共感する内容が多かったです。

一方で、JSAAの理念や活動などとも似ている中で、今後どのようなポジションを取りながら活動をしていく組織なのかまだ少しわからないところがあると感じました。

自分自身が学生のときにSAJに参加した際には、トップのアナリストと実際にコミュニケーションを取る機会を得るのがやはり難しかったので、アナリストと容易にコミュニケーションが取れる機会になると良いなぁと感じています。

アナリストになりたい方に対して、どのような機能を持つ組織となっていくのか、今後の動向に注目していきたいです!

Sports Analyst Meetup の紹介


自身も何度か登壇させて頂いているSports Analyst Meetupのセッション。

スポーツアナリストという名前がついていますが、どちらかというとスポーツに興味はあるが本業では別業界のデータサイエンティストに所属している人も多い印象の組織です。

設立の経緯や、先立って行われたラグビーチームのデータを使った分析イベント(ARCS IDEATHON)の報告がされていました。

主観的健康度と負荷・水分摂取量についての関係性を分析したものが優勝したとのこと。実際に優勝したチームメンバーがLightning Talkを行いました

このアイディアソンを受けて、実際にチームでは常に水分補給ができる・しやすい環境が整備された他、内部スタッフのデータに関する意識が強くなり、少しづつデータの蓄積が進むようになったそうです。

そして、話題は運営が選ぶこれまで印象に残ったLTに。

僭越ながら、高屋さんに過去の自分のLTを選んでいただきました!またITmediaの取材の件にも触れていただきました!ありがとうございます!

 

このように誰もが発表でき、自分の技量をアピールできる場があるのは非常に良いなぁと感じます。運営の方々にも感謝です。

運営の露崎さんがなられたように、データサイエンティストのバックグラウンドがある方がスポーツ界に入るきっかけとなる場として大きくなっていくのだろうなぁと思っています!

今後JSAAとのコラボがどのように行われていくのにも期待が持てました!

スポーツアナリティクスの領域整理

統計学が最強の学問であるの著者の西内啓さんとサッカーアナリストから大学教授になられた久永啓さんのセッション。

スポーツアナリティクスって何だっけ?という問いに踏み込んだセッション。

統計学の役割について、現実の問題をフェアに比べることとした上で、研究寄りのリサーチデザインの話に。以下の二観点から分析の切り口を整理。

  • 定性/定量 
  • 競技者側(ピッチ内)/観戦者側(ピッチ外)

また何がわかると嬉しいのかを明確にした上で、次の3つの分析をうまく使い分けることが重要であるというお話でした。

  • 記述的分析:何が起きたか?
  • 診断的分析:何故起こったのか?
  • 予測的分析:何が起きるのか?

上記はいわゆる研究やデータサイエンス領域でよく言われているものだと思うのですが、スポーツアナリティクス領域においては、診断的分析における、「何故その事象が起こったのか」を明らかにするための統制(いわゆるランダム化比較試験のような、フェアに比べるための条件)を特にピッチ内の現場で揃えることが難しいところに特徴があるのではないかなぁと感じています。

このあたりについて、どのような工夫が考えられるか、など具体的事例があれば、もう少し深ぼって聞けるとなお良かったかなと思っています。

自分自身もスポーツアナリティクスってなんだろう、データサイエンスと何が違うんだろうなどと考えている最中ですがやはりなかなか難しい。

ただ前述のように、一般論としての”フェア”の条件が揃わない中でどのように意思決定を下すかというところに難しさや、特有の重要性があるのかなとは感じています。今後も様々な分野から分析の手法を学んでいき、スポーツアナリティクス領域に応用できる分析手法を考えていきたいなぁと感じています。

クロージング

JSAAの取り組みについて紹介。

アナリストのスキル定義やアワードについてなど新しい試みが発表されました。

僕自身も調査研究委員として関わっているので、引き続きスポーツアナリティクスの分野についてみなさんと一緒に考えていきたいと思います!

 

リアルタイムセッションでは見れなかったセッションも多いため、引き続きアーカイブでちまちまと見ていこうと思います!

非常に楽しい機会を今年も提供いただきまして、運営委員の皆さん本当にありがとうございました!

 

ABOUT ME
@hironowa_ru
修士まではスポーツバイオメカニクスを専攻。新卒で総合スポーツ用品メーカーに入社し、デジタル分野の新規事業開発に従事。現在は日本代表選手団に向けた映像分析サポートを行っており、大学院でコンピュータビジョンの観点からスポーツ映像解析の研究を行っている。
こちらの記事もおすすめ!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。