スポーツアナリティクス

スポーツアナリスト養成セミナーに行ってきた!Part2

Part1に続き、ヒューマンアカデミー主催のスポーツアナリスト養成セミナーの参加レポート記事になります。

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Part2では、橋谷さんの講演内容について書いていきます!

 

 

現場コーチングスタッフからアナリストへの道

ハッタリから始まったアナリスト人生!

橋谷さんは玉置さんとは異なり、選手→指導者を経て現在アナリストとして活躍されています。

もともと2015年にフットサルの女子代表のGKコーチとして働くお話をもらった橋谷さんですが、女子の代表となると強化費用が潤沢とは言えず、GKコーチだけの役割としては採用できないとのこと。

 『分析とかはできるの?』と問われた橋谷さんは、それまで分析を全くやったことが無い(パソコンすらほぼ開いたことがなかったそうです笑)にも関わらず、できます!と即答

2ヶ月後に今まで行ってきた分析に関してのプレゼンをすることになってしまったそうです。

次の日から映像撮影を開始。映像編集ソフトを自費で購入し、Googleで調べながら資料を作成。なんとかプレゼンを乗り切り採用に至ったそうです。

 

橋谷さんはこの”ハッタリ”からアナリストの道をスタートしたそうです。

 

この”ハッタリ”、ソフトバンク孫社長の秘書を務めており、トライズの創業者でもある三木さんのエピソードと似ているものがありますね!

(過去記事:1年英語マスタープログラムTORAIZ[トライズ]の無料カウンセリングにいってきた【TORAIZ01】

業界を問わず”ハッタリ”の力は時に偉大です!

 

”監督のコピーとなる”ことが一番大事

そんなこんなでアナリストの道を開いた橋谷さんですが、最も重要でまず最初に行うことが、監督の頭の中を理解することだそうです。

監督がどのようなフットサルをやろうとしているのか大事にしている価値観は何なのかを理解するために毎日ミーティングを重ねるそうです。

 

監督との密なコミュニケーションの重要性は本当にそう思うのですが、業務上の僕自身の立場は競技横断型スタッフなので四六時中1つのチームに帯同していることができないんですよね。。。

帯同中もコーチが忙しく、なかなか長期的なビジョンについてのコミュニケーションができず、非常にヤキモキしています。。。

このあたりの問題提議はしっかりフィードバックするとともに今後の業務改善につなげたいです。

 

ここからは具体的な業務内容について以下の4つの構成でお話されていました。

  1. ゲーム分析(試合前のスカウティング)
  2. 時系列分析(試合中の分析)
  3. リアルタイム分析(試合中の分析)
  4. データ管理(試合後の仕事)

スカウティング − 再現性の高いプレーを見つけ出すのが最重要

ここからは結構フットサル色が強い内容になります。

 

フットサルやサッカーのゲーム構造を定義すると以下のように切り分けることができるそうです。

 

攻撃→守備トランジション→守備→攻撃トランジション→攻撃…

 

そして、この攻撃と守備を以下のように切り分け見ていくそうです。

 

攻撃

  • 定位置攻撃
    プレス回避→攻撃構築→フィニッシュ
  • 攻撃トランジション ※練習の癖やチームの価値観が出やすいので要チェック
    オープニング→カウンター→速攻
  • セットプレー
     コーナキック、キックイン、フリーキック
  • 特殊局面
    パワープレー、退場時、PK
  • 特徴のある選手
    左利きの選手、他特筆すべき個人能力

守備

  • 定位置守備
    プレス→攻撃構築対策→フィニッシュ対応
  • 守備トランジション
    切り替えアクション→カウンター守備→速攻守備
          ※ゾーンやマンツーマンなどはチェック!
  • セットプレー
     キックイン、コーナー、フリー
  • 特殊局面
    パワープレー、退場時、PK
  • 特徴のある選手
    DFの弱い選手

これを前提にスカウティングを行っていきますが、橋谷さん独自のポイントとして以下のものを挙げていました。

  1. 自チームと同じシステムを採用しているチーム映像を参考にする
  2. 直近2〜5試合が分析対象
  3. 再現性の高いプレーを見つけ、失敗成功の要因を探る
  4. システムチェンジの有無
  5. 出場時間を記録
  6. 相手チームだけでなく、世界のトレンドも知っておく

この中で最も重要なポイントは再現性の高いプレーを把握することだそうです。また、映像を見るときはヘッドホンをつけ、耳から得られる情報も逃さないこともポイントだと仰っていました!

監督によっては世界のトレンドを自チームで試すといったこともするそうで、橋谷さんのチームでは、その対策として、週に一回コーチングスタッフが集まり海外試合の鑑賞会を行っていたそうです。

 

時系列分析 − 地球上の出来事には必ず波がある

ユニークな試みだなと思ったのが、この”時系列分析”。データ分析界隈ではよく耳にする言葉でもありますね。

 

橋谷さんと玉置さんは、試合中の波の可視化をしようと試み分析をしているそうです。

 

一体何を分析しているかというと、

一分ごとにアタッキングサード(ピッチを三分割したときにゴールに近い3分の1のエリア)にどれだけボールが侵入したか、またされたかをカウントしているそう

2シーズン分のデータから、この波の頂点でゴールが生まれやすい傾向にあることがわかったそうです。この波を可視化することで、選手の采配などに役立てているそうです。

 

リアルタイム分析 − 最低限の情報でコンパクトに

試合中はダートフィッシュを使って、リアルタイムでプレーのタグ付けを行っており、ハーフタイム中に前半の振り返りとして即時にデータを提供しているそうです。なおダートフィッシュの理由はWIndowsで使えるからだそうです。

 

限られた時間のため、渡すデータは最小限

失点シーンセットプレーの映像がメインでサブの情報としてアタッキングサード侵入回数、ボール奪取ロスト回数、シュート本数のデータを渡すそうです。

 

ハーフタイム中に分析データを渡すことはフットサルではあまりメジャーではないそうですが、やってみると意外にできるものだと仰っていました。

データ管理 − 全試合の得点失点パターンのまとめ

 

監督の要望で、全試合の得点失点パターンを表にして作成。現在の順位とともに一覧で見れるようにしているそうです。(これは画像がないとちょっと説明がしづらいですね、、、)

定位置攻撃やカウンター攻撃、PKなどのセットプレーのうち、どのチームがどのような点のとり方をしているかを毎節確認しているそうです。

公式記録にはないため全試合見る必要があるということで、非常に時間がかかる作業ですね。。

アナリストには何より、監督のリクエストにすばやく対応し、決断をサポートすることに尽きるという締めくくりで橋谷さんの講演は終了しました。

 

アナリストにKPIはあるか?

ここからは質疑応答セッション。

僕もアナリストについて一番気になっていたことを質問しました。

ズバリ、チーム内でアナリストを評価する仕組みや果たすべきKPIなどがあるのか?ということ。

玉置さんの講演の中で、アナリストの価値はチームに貢献しているかどうかだ!というお話があったのですが、それってチーム内で一体誰がどう評価するのだろう?と疑問に思っていたのです

 

玉置さんのお答えでは、チームによって異なると思うが、玉置さんが所属するチームではKPIなどは無いとのこと。最初の契約の段階で給料の提示があり、その中でやるとのことでした。

これは実は僕の現職でも同じでして、KPIはほぼありません。給料に関しては、これまでの経験に基づきランクが決められ、一年経過すると一つランクがあがるというようなシステムなんですね。

 

アナリストの地位確保や向上のためにもアナリストをどう評価するかに関しては今後も検討していく必要があるのかもしれません。

 

今回のお話を聞く限りでは、現場のアナリストは監督との関係が非常に重要なので、監督の評価次第でアナリストの価値も決まるのかな?という印象を受けました。

 

データの所有権はチームでなく個人!?

これ少しグレーなのかもしれないですが、フットサルのアナリストの間では、データの所有権はアナリストが持っており、チームではなく個人で管理しているそうです。これは結構びっくりなお話でした。

クラウド使用料やハードディスクなども自分で購入するそうです。

 

また、使用する分析ソフトウェアもチームで購入しているケースもあるが、自分で購入しろと言われるケースも少なくないそう。。。

この手の分析ソフトって結構高いんですよね、、、。このあたり、チーム所属のアナリストのリアルな話が聞ける良い機会になりました。

 

 

 

ヒューマンアカデミーではダートフィッシュの使い方を学んだ後、実際に現場での分析を行うようなプログラムも組まれているそうです。興味がある方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか?

ABOUT ME
SeijiHirosawa
1991年生まれ|現在は日本代表選手団に向けた映像分析サポートを行っており、大学院でコンピュータビジョンの観点からスポーツ映像解析の研究を行っている。
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