スポーツアナリティクス

スポーツアナリスト養成セミナーに行ってきた!Part1

今回は2019年1月19日、ヒューマンアカデミー主催のスポーツアナリスト養成セミナーに参加してきましたので、その参加レポート記事になります。

 

登壇者は

 Fリーグ立川・府中アスレティックFCアナリストで早稲田大学スポーツ科学研究科博士後期課程に在籍中の玉置研二さん

 Fリーグバルドラール浦安やフットサル女子日本代表のGKコーチ兼アナリストを務めた経歴を持つ橋谷英志郎さん

以上2名でした。

 

 玉置さんからはスポーツアナリスト業界についてフットサルでの事例を混ぜ込みながらも抽象度を少しあげた全体的なお話。

一方で、橋谷さんからは実際にチームでプレゼンを行ったときの資料を見せながら、より具体的な業務や分析結果についての具体的なお話を伺うことができ、非常にバランスの取れた良い講演でした!

 

以下でそれぞれの具体的なお話について触れていきます。

 

玉置さん講演 アナリストとは?

 

車両メーカーのエンジニアからアナリストの道へ

 最初に登壇されたのは、玉置さん。まず特筆すべきはその経歴です!

 今でこそ大学院の博士課程に所属しながらアナリストの活動をしていますが、もともとは、工学部を卒業した後車両メーカーのエンジニアとして働いていたそうです。

 そんな玉置さんがアナリストになったきっかけは、就職してからフットサルに出会ったことだそう。どっぷりはまり、会社をやめて早稲田大学大学院スポーツ科学研究科の修士課程に進学するまでに。そのまま博士課程に進学し、チームでアナリストをするまでになったようです。

そんな玉置さんからは以下の4つの点についてお話を頂きました。

  1.  アナリストの心構え
  2.  アナリストの役割
  3.  分析について
  4.  確率統計について

アナリストの心構え − 空気を読む、めげない。

玉置さんは、アナリストの心構えとして大きく2点あげていました。

 1つは選手やチームに対しての心構え。ズバリ、試合を読むのではなく、空気を読め!

 一口にアナリストといっても監督やコーチによって考え方は大きく違います。(例えばアナリストは選手とコミュニケーションを密に取るべきと考える監督もいれば、一切接触するなという方針の方もいるそうです。)

 チームの状況を観察しながら自分の求められていることを理解することが最も重要とのことでした。

 

 もう1つは自分に対する心構え。分析結果が採用・活用されなくてもめげない

 深夜にこのデータを出しといて〜と急に投げられ、徹夜して分析した結果が次のミーティングで使用されないことなどはざらにあるそう。。。このような経験は後で登壇した橋谷さんも何度も経験があるそうでした。

 

 んーこれはめげない!というか、根本的な解決策を模索したいところではありますね。。。できるだけこのようなことを防ぐためにも、監督やスタッフとのコミュニケーションは密に行っていく必要がありそう。

もちろんチームの事情によって方針が切り替わるのは致し方ないとは思いますが、、、。そのあたりの背景の説明があると納得感や信頼関係構築にもつながりそうです。

今後はアナリスト側だけでなく、監督やコーチ目線からのアナリストとのコミュニケーションの仕方というスキルが必要になりますね。

アナリストの役割 − DIKWピラミッドの階層をあげてアウトプット

DIKWピラミッド wikipediaより引用
  • D:生データや体系化されていないデータの羅列
  • I:データを何らかの基準で分類したもの
  • K:情報から得られる規則性や傾向
  • W:人がKnowledgeを使って判断する力

 アナリストの役割は、インプットとして受け取ったデータ(D)や情報(I)の階層を上げてアウトプットすることだという説明がありました。

これは非常にわかりやすかったと感じました!

また扱うデータとしてはどのようなものがあるかの例として以下のように挙げていました。

 特に大事なのが公式記録。Fリーグのチームで公式記録を有効活用できているチームは多くないそうです。

 加えて、自分で現場で足を運び目で見たり耳で聞いて集めた情報も重要とのこと。映像や公式記録からではわからない肌感覚の情報も多いということです。

やはり数字だけでなく現場を知る!ということは重要ですね!

分析について −フレームワークは5W4H1Oを使用

実際の分析については

5W(Why,What,When,Who,Where)1H(How)に加えて、

  • How much(どのくらいの強度か など)
  • How many(何人であるか など)
  • How long(どのくらいの長さか)
  • Orientation(方向)

以上を合わせた、5W4H1Oを使用しているそうです。このあたりは複雑なボール競技ならではといったところで、項目も多くなっている印象です。

 

分析の際の注意点として

  • 前提条件を明確に → 例えばポジショナルプレーを行うには、前提として各選手がキープ力があることが大前提。
  • 大局から各論へ → 森を見てから木を見る。脳の構造上逆は難しい
  • 競技(ルール)を理解 → ルール変更は戦術変更の歴史。ルール変更に敏感になり、どのような戦術が生まれるのかを予測するのも重要
  • 分析結果は再現性があるように → 誰がやっても同じようになるのが理想

などを挙げられていました。

 特に日本のチームは海外での事例をそのまま横展開しようとする傾向にあるそう。それを実現するために必要な前提条件がそろっているのかを検討することを忘れてはいけない!ということを仰っていました。

 

 コンテキストの違いを理解した上で、適切に自チームに適用するという一工夫は色々な局面で重要になってくるものだなぁと感じました。ここもアナリストの腕の見せどころかもしれません。

 ルール変更は戦術変更の歴史!という発言も非常に興味深かったです。フィギュアスケートは毎年ルールが変わりますが、その変更に選手たちがどう対応していくのかという戦術もスポーツとして楽しみな点の1つだと僕は考えています。

確率・統計について – 見せかけの数字に騙されない

確率統計については以下の2つについて主に話していました。

  • 試合で得られたデータ、情報は全く同じ条件で得られたものとは限らない。 
    → 出ている選手やピッチコンディション、気温など結果に影響する変数が違う場合が多い。サンプル数を確保しながら適切に分類するのが重要。
  • 数字データ=客観的ではない
     → シュート本数、ポゼッション、パスミスなどはプレーの分類の時点で主観が入っていることに気をつける。

最後に統計の入門書としてこちらの本を紹介しておりましたので、興味のある方はぜひ読んでみると良いかもしれません!

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長くなってしまったのでPart2に続きます。

http://sports-analytics-dr.net/human-academy_sports-analyst_part2/

 

ABOUT ME
SeijiHirosawa
1991年生まれ|現在は日本代表選手団に向けた映像分析サポートを行っており、大学院でコンピュータビジョンの観点からスポーツ映像解析の研究を行っている。
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