スポーツアナリストとは何者か?目指すべき人が取るべき進路とは?

11月から日本スポーツ振興センターで、映像分析スタッフとして携わることになりました。

前々からスポーツ現場において客観的なデータを用いて選手やコーチに科学的なフィードバックを行う職業に就きたいと思っていたので、いろいろ思うことはありますが、とても刺激的な環境に身を置けています。

そんな中、前々から疑問を抱いていた

“スポーツアナリスト”とは何者か?という問いに対して改めて考えてみたくなったので、今回はこの点について書いていくことにしました!

想定読者

  • スポーツ分野のデータ分析業務に興味のある方(主に学生)

発端は”HUNTER×HUNTERの念能力6系統で喩えるデータ分析スキル”記事から

さて、少し前になりますが、データサイエンティストの持つスキルセットを、漫画ハンターハンターの能力を例に解説するというブログ記事が公開されました。

その後このブログ記事を元ネタとし、“スポーツアナリスト”版を作成したNote記事も出回りました。

データサイエンティストの持つスキルセット(上記元ネタ記事より引用)

スポーツアナリスト版(上記Noteより引用)


データサイエンスに興味がある者として、この元ネタブログは見ていたのですが、スポーツアナリスト版を作りました!という記事を見て、なぜスポーツアナリスト版を新たに別に作る必要があるのか?と、疑問を抱いたのが本音でした。

というのも、そもそもこの元ネタの記事は業界を限定しているわけではありません。データサイエンスに関わる人であれば、市場を問わず大方このような能力が求められているという意味で解説がされているように思います。

つまり、スポーツの場においては、それがビジネスであれ、競技現場であれ、元ネタのドメイン知識=スポーツとなるだけで、基本的には変わらないのでは?というのが個人的な見解だったからです。

しかし、記事を見ると元ネタ版と“スポーツアナリスト”版の内容は大きく違うことがわかります。

統計解析やエンジニアリングの知識はそれほど高いレベルを求められているわけではない代わりに、スポーツ分析に特化したツールなどのスキルが求められています。

これを見て、

“スポーツアナリスト”とスポーツ分野でのデータサイエンティストは別物!

というのが僕自身の見解になりました。

スポーツアナリストを目指すべき人が取るべき進路とは?

確かにスポーツアナリスト協会のHPにあるアナリストのインタビュー記事Pick Up Analystを見ても、実に様々なバックグラウンドを持つ方がいることがわかります。

つまり、ひとえにスポーツアナリストなりたい!といっても、どのような業務を行いたいかによって自分が目指す方向や取るべき進路が変わって来ると思います。

他のスポーツアナリストの方の投稿を見ると、

スポーツアナリストになるにはどうすればいいの?

という質問も受けることが多くあるようです。

そもそもスポーツアナリストと呼ばれる人にはどのような人がいるかをカテゴライズし、それに応じての提案をしているものがなかったので、今回はそれにチャレンジしてみようと思います!

スポーツ系データ分析者の3パターン


素人ながら、僕自身が今まで見てきた中では、スポーツアナリスト(=スポーツに関して様々な種類のデータを扱い、知見をフィードバックする人)は大きく次の3パターンに分類されるのではと考えています。

  1. コーチング系
  2. データサイエンティスト、AIエンジニア系
  3. 研究系

以下で一つ一つについて私見を展開していきます。

コーチング系


は現場で選手やコーチに適切なフィードバックを行うような職種です。映像を用いることが多いため、海外ではビデオコーディネーターと言われることもあるそう。


データサイエンスやエンジニアリングスキルというよりかは、戦術や競技の理解、選手への情報の伝え方の能力、スポーツ分析ソフトウェアが使えるかなどに重きを置いている印象です。
いわゆるテクニカルコーチなどがイメージに近いかもしれません。

この場合は、体育系のコーチング系学科や、部活動やクラブチームなどの現場で分析ソフトウェアを使える環境に身を置くのがよいのではと思っています。自身の競技経験もダイレクトに生きてくると思います。

統計の知識などは大学教養程度で十分かと思うので、それよりも現場で手を動かせる環境が大事な印象を受けます。

僕は大学院時にフィットネスアポロ社でスポーツコードの使い方を学ぶ、スポーツアナリスト体験セミナーに参加し、その後インターンとして分析業務に携わっていました。

同社で今このようなことをやっているかはわかりませんが、DataStadium社など似たような講座をやっているところは以前よりも増えている印象なので、このようなものに参加するのも良いと思います。

必要なスキルセットとしては前述の”スポーツアナリスト版”のものが必要になってくるかと思います。

データサイエンティスト、AIエンジニア系


は他の業界で言われているアナリストやデータサイエンティストと近いものだと思っています。よりも学術的に高度な分析をする人で、統計やエンジニアリング、コンピュータサイエンスをメインバックグラウンドとする人が多いです。

野球のセイバーメトリクスを専門にしている人もここに入ると思います。

スキルセットとしては、上記データサイエンティストが持つスキルセットの方を参考にするのが良いと思います。


国内の事例はまだそれほど多く知っていませんが、DeNAのデータサイエンティスト職はこれにあたると思います。


他にも個人ブログを執筆されている方を見ると、このような方々がやっているようなことも当てはまるかもしれません。


この②に関しては、日本ではまだまだ開拓中の分野という認識

市場として未発達な日本スポーツ界(特に競技スポーツ現場)には前述のような業界を横断して引く手あまたな人材はなかなか入ってこないという課題もありそうです。当然人材育成の土壌も出来ていません。

また、アメリカではトップクラブのスポーツチームのアナリストはアカデミックやエンジニアリングのバックグラウンドを持っている方がほとんどで、スポーツ科学やコーチングが専門ではない人がほとんどとのこと。
その競技特有の知識を持たない方も多いのだとか。


実際統計やコンピュータサイエンスを学ぶ学生を対象にインターンとしてトップチームが受け入れ、教育する体制を取っているそうです。うらやましすぎますね。。。

この手の分野を望む人は、新卒の段階で日本のスポーツ業界に入らず、データ分析に強い会社やエンジニアとしての能力を身につけるほうが良いと思います。そのあとにスポーツビジネスや競技特性について学ぶのが良いかもしれません。


どうしても最初からスポーツで行きたい!という人は海外留学をするほうが遥かに良いと思います。(というか僕がしたい笑)

今年の2月にMITSloanのアナリティクスカンファレンスに行ってきましたが、そのときにもこの②に当てはまるような方のセッションが複数ありましたので参考までに。

過去記事:MIT Sloan Sports Analytics Conference2018に行ってきた
参考記事:スポーツ×アナリティクスの現在はいかに。「MIT スローン・スポーツアナリティクスカンファレンス 2018報告会」レポート

研究系

 ③は現場とは少し離れてしまうかもしれませんが、スポーツの分析に携わる職種として、大学やJISS(国立スポーツ科学センター)などの研究機関、企業の研究職なども考えられると思います。


スポーツ科学や関連分野でのアカデミックな能力が求められ、ほとんどの場合大学院への進学が必要になり、論文の執筆などで成果を出していく必要があるでしょう。

他の分野に比べると修士卒も多い印象を受けますが、博士号取得がスタンダードとなるのではないでしょうか。

最先端の知見を追い求め論文として世に出し、知見を選手へのフィードバックや定量的な評価につなげる、もしくは製品サービスに落とし込むような業務になります。より現場と密接な関りを持った大学院や研究室に進学することが現場と離れない秘訣かもしれません

Note記事の紹介

最後にこんな有料Noteを見つけました。

「サッカーのアナリストになるには、どの大学に入って、どんな学部で、何を学ぶとよいのか?」という質問に答えました。

これを購入して答え合わせをしたところで、有料記事なので内容をこのブログに追記することもかなわなそうなので、購入は控えようと思いますが、ここでいう現役のスポーツアナリストの方々がどのようなバックグラウンドを持ち、どのような進路を進めているのかは非常に気になるところではありますね!

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コメント

  1. てるし より:

    質問があります。自分は①も②も情報収集能力、情報分析力、伝達能力(この記事ではコーチング能力)が必要であり、①は伝達力重視で②は情報収集能力と情報分析能力重視だと言っているように感じました。この記事の①と②の違いが自分の理解とあっているのでしょうか。お忙しいところ恐縮ですが教えていただけると嬉しいです。

    • Seijihirosawa より:

      てるし様 コメント頂きありがとうございます。結論から申し上げますと、①と②の違いは、情報収集能力、情報分析能力、伝達能力の3つのうちどれを重視しているかというお話では無いという認識です。どちらにおいても、この3つの能力は必要です。ただ、その質に違いがあるのではないかというのが自身の見解になります。簡略に話しますと、①の人が持つスキルは記事前半部で引用したスポーツアナリスト版のnote記事のものを想定しています。逆に②の人が持つスキルは元記事であるデータサイエンティストが持つべきスキルセットのものを想定しております。

  2. てるし より:

    この度は早急にそして丁寧に二つの違いを説明して頂きありがとうございます。自分がデータサイエンティストとアナリストの違いが分かってないことに築くことができました。もっとデータサイエンティストとアナリストについて勉強したいと思います。上記の説明から考えると著者さんはスポーツアナリストの職に就いているという認識でよろしいのでしょうか?あとスポーツアナリストになるためにはまず何を勉強することから始めた方がよろしいのでしょうか?何度も何度もお手数おかけして申し訳ございません

    • Seijihirosawa より:

      てるし様 コメントありがとうございます。僕自身は業務上は代表選手に向けた映像分析サポートを行っているため①を行っている立場です。ただ、②また③についての知識素養を増やすべく大学院に通い研究活動を行っています。何を勉強したら良いかということですが、てるし様のバックグラウンドとなりたい姿にもよると思いますので、個別にご連絡させていただければと思います。
      よろしくお願いいたします。