スポーツアナリティクス

スポーツアナリティクスジャパン2020(SAJ 2020)に行ってきた!

2月1日(土)、スポーツアナリティクス協会主催のイベント、SAJ2020に参加してきました!

今回のテーマは”HACK THE DECADE”

2020 〜 2030年にこの業界がどうなっているのか。そんなことをテーマにセッションが行われていきました。

第1回から過去3回SAJに参加していますが、同じ業種で働くプレーヤーとして参加するのは今回が初めてです。

今までとは違って当事者意識を持ってセッションに臨むことができました。

改めてここで自分の学びを記していくことにします。

今後10年の課題をどう設定しているかに着目!

 

HACK THE DECADEにもあるように、多くのセッションはテーマに対して、「これまでの歩み→現在地→今後10年の構想」の流れで話が展開されていたように思います。

 

中でも、特に注目したのは、何を次の10年の問いに設定しているかの部分です。ここは登壇者の色が大きく出るところだと思ったからです。

 

この観点から面白いと思ったものをピックアップしてまとめていきます。

片鱗が見えた”スポーツアナリスト間格差”?

 

今回1番面白いと感じたのが、ディズニーを超えるスポーツアナリティクスのセッション。

より成熟した産業にするために、日米間のスポーツへの文脈の違いを”する”・”見る”・”支える”の3つの観点から議論し、エンタメとしての可能性を語るといった内容でした。

 

登壇者のコミカルな話術に加え、フレームワークに基づく整理された議論に非常に話の内容が入ってきやすいセッションでした。

また、スポーツ系のカンファレンスで、フィギュアスケートの具体例がここまで多く出てきた経験もなかったので嬉しい誤算でした(泣)。こにわさんと是非お話してみたい!

 

 

さて、このセッションの何に驚いたのかというと、冒頭で問題設定を以下に置いていたところです。

  • 日本の”スポーツデータアナリスト”の平均年収は580万、一方米国は1,060万という現状。今後日本でスポーツアナリティクスで飯を食っていけるのか?

 

パフォーマンス領域で働く身としては、日本スポーツアナリストの新卒年収平均が580万なわけあるか!と肌感覚として違和感を持ちます。夢物語レベルの現在地です

 

これはおそらく、企業でデータサイエンティストやAIエンジニア、ITコンサルタントとしてスポーツ業界に携わっている人たちのみが対象となっているのだろうと推察できます。

 

このあたりの違いは当ブログでも取り上げてきました。

 

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自分の見える範囲では、少なくとも中途採用や第二新卒あたりでのこの手の求人は増えてきている印象で、組織としても立ち上げ期を既に過ぎ、少しずつ人員を増やしている印象を持っていました。

 

この前提に立ったときに、何を感じたかというと、

  • 日本のスポーツデータアナリストの新卒平均年収580万というワードに肌感覚として違和感を持たないプレーヤーが既に存在すること
  • 新卒平均給与を580万→1080万にするためにどうすればいいかを考え始めている存在がいるということ。

この2点です。

 

自身は以前から、スポーツ分野でのデータサイエンティストとパフォーマンス領域のアナリストを区別し、両者は別物だという立場を取っていますが、

両者の社会的ポジションや待遇の現在地にも大きな開き(=スポーツアナリスト間格差)がありそうだと改めて認識しました。

 

ここを混同してしまうが故に不幸になる人がいないことを望みます。

 

また、分野が違ってしまえば、”スポーツアナリスト間”であっても現状の共有(お互いの現在地の理解)ができていないのではないか?と感じるきっかけにもなりました。

 

と同時に、すべてのセッションに共通しますが、”アナリスト”という言葉をもう少し丁寧に使っていくべきではないかと感じました。

 

このあたりの交通整理をどのように協会として行っていくのか、またしないのか、今後の動向に注目していきたいところです!

 

それぞれの分野のアナリストの待遇や職場環境の調査とかしてみたいなーーなどと思ったり。

パフォーマンスアナリストは”コーチの登竜門”?

 

アナリストのキャリアプランを考える 〜選手を成長させる指導とデータ活用〜でのセッションでは、パフォーマンスアナリストのキャリアについてのお話がありました。

ここでの課題設定は、アナリストになったあと”どのようなキャリアが考えられるか?でした。

これは非常に面白く、挑戦的だと思いました。

おそらく聴衆の多くが、その前段階のアナリストとして地位を確立するための構想について聞きたいのではないかと思ったからです。

 

しかし、パフォーマンスアナリストになったあとの可能性”までのインプットをしておくことは、今後アナリストを目指す人にとっても、長期的にキャリアを考えるきっかけになると思います。

また、存在感が高まってきたパフォーマンスアナリストが次のフェーズに行くために考えなければならない”問い”でもあると思います。

 

 

セッション企画担当の西原さんが企画意図をこちらで記していますね!

 

 

話では主に2つの可能性があがっていました。

  • アナリスト→コーチの道
  • アナリスト→周辺スタッフを含めたマネジメント側の道

 

一部でパフォーマンスアナリストが”コーチの登竜門”であると捉えられていたことは新たな発見でした。

また、アナリストは最終的な意思決定をする立場にないため、立場としては弱くなり、コーチの登竜門のような位置づけになってしまうのでは?というのも現場の生の感覚を反映しているなと思いました。

 

コーチとアナリストに関しては、以前から職能としては似ていると考えていましたし、アナリスト経験のあるコーチの存在はアナリストにとっても非常に心強い存在になるため、このキャリアパスは増えていってほしいと思っています。

というのも、アナリストは基本的にコーチ陣の指示や考えのもと動くからです。

ディレクションが機能しないと、腕のあるアナリストであってもその価値は十分に発揮されないでしょう。

アナリスト経験のあるコーチとアナリストが組むことでより大きな価値をチームに提供できると考えます。

 

周辺スタッフを含めたマネジメントの道は個人的に推していきたいキャリアパスです。

トップスポーツの現場では、各専門家が協力しあってアスリートのサポート体制を築くことは、当たり前になりつつありますが、全体のディレクションを行える人材がスポーツ界にどれだけいるのか?という問題意識を持っていたからです。

 

アナリスト発の監督、強化部長なども今後出てくるのかもしれませんね!

 

パフォーマンスアナリストとなった先にどのような選択肢があるのか?想像を超えた非常に面白い”問い”でした。

 

分析の現在地は?

 

パフォーマンス領域で言えば、文脈的に大きなアップデートはなく、ざっくり言えば以下のようになると思います。

  • ツールが充実してきたことにより、取れるデータが格段に増えた
  • データ活用への意識やアナリストの存在感は高まっている
  • 膨大なデータをどう価値に変えていくかが大きな課題
  • 人力に依存する業務を減らすことができていない

 

今回はトップ以下の育成年代でもデータ活用の事例が多く見られたことが特徴的だったと感じました。これは非常に嬉しかったです。

一方、課題感に関しては数年前から変わらず、各競技でも試行錯誤を続けている段階。明確な指針が立っているわけでは無いように思いました。

 

一つ個人的にもっと詳しく話を聞きたかった!!と思った場面が!

アナリストのキャリアプランを考える」のセッションで、フェンシングアナリストの千葉さんが発したこの発言。

 

「タグ付け作業は分析ではない。」

 

このワードが少し話題になっていましたが、おそらく、聴衆の中でこのことに気づいている人はそれほど少なくなかったんじゃないかなと思います。

 

そこではなくて、その先の部分。

「だから、今、この作業の価値を再定義しています。本当に必要な作業であるか立ち返ってみている。」

 

おおよそこのような話をしていたと思います。

ここの部分の、千葉さんなりの現場での試行錯誤の様子をもう少し深堀りして聞きたかった!

時間の関係もあったので残念でしたが、今度直接話してみようと思います笑

 

 

ビジネスサイドでは、

スポーツ観戦のCX(顧客体験)向上 〜グローバル調査から見えた日本の課題とFC今治の挑戦〜

のセッションで

FC今治とデロイトトーマツが行った、グローバル規模での顧客の観戦体験に関する調査とそれに基づいた施策が堅実に実を結んでいる印象を受けました。

 

こういったビジネス分野からのアナリティクスの事例はなかなか表に出てくる機会が少ない印象なので、非常に貴重でした。

フィギュアスケートの観戦体験ってどーなんだろーなーと思ったり。やっぱりリンクに○ーさん投げ込みはしたいんじゃないかなぁ。。。

 

e-sports×アスレティックスポーツ 相互作用の可能性は?

 

最後に紹介するのは「トップアスリートは先を見るために何をみているのか?」

様々なアスレティックスポーツに加え、最近ではパワプロやウイイレなどのe-sports選手の視線計測実験までを行っている慶應SFC加藤准教授の研究成果がふんだんに盛り込まれた内容。専門外でも非常に聞きやすいセッションでした。

 

トップアスリートはすべてが見えているのではなく、”予測”しているから何でも見えているように見えるのでは?というのは、非常に納得感のあるお話でした。

 

 

また、後半は、e-sportsの競技力とアスレティックスポーツの競技力が相乗効果を生むのではないか?という話題に。

視線計測実験では、サッカーのトップアスリートも、ウイイレの熟達者も、プレー中スペースを見ていることが多いそうです。

現役フェンシングアスリートの三宅選手は、大乱闘スマッシュブラザーズは対人系スポーツには役に立つ!と力強くおっしゃっていました。

 

今までアスレティックスポーツに携わる方々の中にはe-sportsをスポーツとして受け入れていない側に立つ人が多い印象を個人的に持っていました。

そのため、このセッションでe-sportsとアスレティックスポーツの相互作用の可能性が垣間見れたことは非常に嬉しいポイントでした。

今後e-sports とアスレティックスポーツがお互いどのような作用をもたらしていくのか。楽しみです。

終わりに

 

今回のイベントで個人的に残念だったのは、新たな試みであるHiVEのセッションに足を運ぶ余裕がなかったことです。また、展示ブースもしっかり見て回ることができませんでした。

個人的にはセッションの数を減らして、時間に余裕を持たせても良いのではないかなーと思ったり。

 

休憩時間を長めにとり、そこの時間をミートアップとして使えるようになると、より他の人とのコミュニケーションができて良いなと感じました。

MITSSACのように、セッションが後日動画視聴可能であれば、セッションの聴講をスキップして、このようなことに時間を使うこともできるのだけど、、、。

 

 

いずれにしても、久々に怒涛のインプットを受けた一日で、大変楽しかったです。

運営の皆様、参加された皆様お疲れさまでした!

ABOUT ME
@hironowa_ru
修士まではスポーツバイオメカニクスを専攻。新卒で総合スポーツ用品メーカーに入社し、デジタル分野の新規事業開発に従事。現在は日本代表選手団に向けた映像分析サポートを行っており、大学院でコンピュータビジョンの観点からスポーツ映像解析の研究を行っている。
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