パラアスリートのハイパフォーマンスサポート

日頃日本代表選手向けに映像分析サポートを行っている身ですが、オリンピックだけではなくパラリンピックの競技もサポートの対象に入っています。

お恥ずかしながら入社前にパラスポーツに携わった経験はなく、関係者にお話を伺う機会もほとんどありませんでした。

そんな中、会社の研修でパラアスリートについてお話を伺う機会がありましたので、簡単にまとめようと思います。

想定読者

  • JSC/JISSの業務に興味のある方
  • 日頃パラアスリートと接点がない方

講師はJSCハイパフォーマンス戦略部開発課所属で元パラ競泳選手の河合純一さん。92年のバルセロナ大会から12年のロンドン大会まで6大会連続でパラリンピック出場、金メダル5個を含む21個(!)のメダルを獲得、国際パラリンピック委員会に殿堂入りしているレジェンドです。

”障害”の2つの捉え方

河合さんのお話では、障害の捉え方は医学モデル(個人モデル)社会モデルの二種類があるそうです。

医学モデルでは、障害を個人に帰属するものと捉える考え方です。一方で、社会モデルでは、障害を社会が生み出しているものと捉えます。

2つの考え方によって障害の取り除き方が異なってきます。

医学モデルでは、障害となる個人因子を取り除く(=治療する)アプローチ

社会モデルでは、環境因子を取り除く(=周囲の環境の整備)アプローチを行っていくものです。

河合さんは、障害を社会が生み出しているものと捉える社会モデル的なアプローチが必要であると仰っていました。

少し脱線しますが、”障害”を”障がい”と書くケースがあることと思います。しかし、法律やNHKの表記では”障害”が統一して使われています。

これは、障害というものが個人に帰属するものではなく、社会が生み出したものであるという社会モデル的な考えに基づいているからだそうです。

パラアスリートに向けたサポートの基本的な方法とは?

さて本題。おそらく、主催者や会場の参加者が一番聞きたかったのが、このパラアスリートに対しての基本的な接し方。

河合さんの返答は、相手が障害者だからといってマニュアルのような一般解はない。普通に困っている人を助けるのと同じ。とのこと。

これ、当たり前といえば当たり前ですよね笑 なんでもかんでも正解を求めてしまう姿勢は反省です。。。

ではどうすればよいか?

これは単純で、当事者にまず聞くのが一番

その方が何ができて何ができないのかを把握し、その上で必要な部分をサポートすれば良いとのことでした。

特にパラアスリートの方は日頃から障害を経験しなれているため、タフな方も多い。場合によっては手伝うことを断られるケースもあると思うが、そこで気にする必要は全くないとも仰っていました。

大事なのはまずなにか困っていないか声をかけること。

日常生活でも意識したい部分です。

視覚障害者はどのように時刻を確認するか?

視覚障害者はどのように時刻を確認するか、皆さん考えたことがあるでしょうか?

咄嗟に聞かれると回答に困るかもしれません。僕自身もそうでした。

多くの場合は音、点字、バイブレーションなどで判断するそうで、河合さんもスマートフォンを巧みに操作し、時刻を判断していました。

健常者は時計を見ることで時刻を把握するケースが多いですが、言うまでもなく時計を見ることそのものが本質ではありません。

本質は、時刻を知ることなのです。ここを間違えてしまうと適切なサポートができないと河合さんは仰られていました。

視覚障害者は時計を見たいわけではないのです。にも関わらず、サポートという立場になったときに、どうしていいかわからずに時計を見せようとしてしまうこともあるのだとか。

障害者をサポートする際には、このように本質を見失わないこと、誤った理解をしないことが重要であるとおっしゃられていました。

オリンピック・パラリンピックのノーマライゼーション問題は?

自由質問タイムになった時に、オリンピックとパラリンピックを1つにするという考え方に関して意見を伺ってみました。

以前JapanSportsAnalyticsConference2018に参加したときに議題に上がっていたのを思い出したためです。

(過去記事:Japan Sports Analytics Conference2018に行ってきた!

やはり統括団体が別れていることや、選手村はどうするのかなど細かいところを色々考えていくと難しい印象を受ける。

一部の他の国ではメダルテーブルをオリパラ合算で行うなどし始めている国もある。

日本で言えば、オリパラレベルではなく、市民大会レベルで障害の有無に関わらず大会に出られるようにすることがまず重要ではないか。という返答でした。

まとめ

今まで余り関わることが無かったパラ競技についてお話を伺う非常に貴重な機会でした!今後業務を通してパラ競技に携わることも多くなるので、引き続きこのあたりの知見も増やして行きたいと感じました。

蛇足。。。

このお話を伺ったあとの帰り道、JISSの最寄り駅で白杖をついて歩いているご老人を見かけました。

点字ブロックから外れて迷っている様子で、今にも車道に行ってしまいそうだったので、お声がけしたのですが、うまくコミュニケーションを取ることができませんでした。。。

もしかしたら、聴覚障害も持ち合わせていたか、耳が遠かったのかもしれません。

体を抱きかかえ、どうにか点字ブロックの上に移動させその場を後にしたのですが、相手からすると怖い印象を与えてしまったかな。。。と若干の後悔をしています。

今回はチャレンジした自分を褒めつつ、同じような状況になったら、まず声がけをするということを忘れずに行おうと思います。

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