スポーツアナリティクス

Japan Sports Analytics Conference2018に行ってきた!

 今回は、2018年9月21日に東京の国際連合大学で行われたJapan Sports Analytics Conferenceに参加してきましたので、その簡単なレポートになります。

 本カンファレンスは2016年オーストラリア発のカンファレンスで、今回初めて日本で開催されたものです。

メイン会場は2つ。計19のセッションと規模としてはそれほど大きくないですが、日本にいながら海外の事例を知る良い機会になるだろうと思い参加してきました!

なお参加人数は約300人だったそうです。ほぼ日本人だった印象。

■全体感はいまいちかな、、、

 いつもと同じように、スポーツの指導の現場ではどのようなテクノロジーが使われており、どのようなデータを意思決定に使っているのかに興味があったため、以下のようなセッションに参加しました。

  • BasketBall And Analytics
  • Soccer and Sports Analytics (LA Galaxy / Catapult)
  • Athlete Management (EDGE10)
  • Sports Injury Prevention

が、あまり目新しい発見は無かったかな、、、というのが正直なところ。。。

 

メジャースポーツが中心のトピック。GPSやセンサーを使ったトラッキングや選手の主観的な情報入力による練習量の可視化、コンディションチェックなどは既に日本のチームでも多く行われているものです。

 

マイナースポーツであれば驚きもあったものの、メジャースポーツであればこのくらいは当たり前で、改めて聞くまでもないかなという印象でした。

 

もう少し、プロスポーツの現場でこういうような実証実験を他と協業してやってみたよ!のような話も期待していましたね。

 

会場では何名か知り合いに会ったのですが、イベント全体の印象は同じくあまり良くなかった感じでした。

 

この点はMITのカンファレンスと違い、発表をしている方のバックグラウンドがほぼ現場のコーチだったことが起因するかもしれないと思いました。

 

いわゆるデータサイエンティストやエンジニア、研究者のような人の登壇は今回は少なかったように思い、話の内容が似たり寄ったりになっていると感じたためです。

 

海外では様々なバックグラウンドからスポーツの現場に来ている人も多いと思うので、このあたりの人材を登壇者にするとより面白かったのではと感じました。

 

そんな中でも、個人的にはNTTDataのVRについての取り組みと産総研が行っている義足のプロジェクトが面白かったのでここで少し紹介します。

■Sports Training System in Baseball / NTTData

 NTT dataは楽天とのコラボレーションで、選手がその試合で投げた球をVRで完全再現することで、選手強化に役立てることを目指した取り組みを行っていました。

 

開発中のVR Training System

完全再現という言葉にあるように、周りのスタジアムの様子だけでなく、選手のそのときの表情までも再現しているとのこと。

これは一つ一つの動きから読み取れるものが多いとの理由からで、トップアスリートを対象にしたソリューションならではの工夫を感じました。

 

野球でのVRと聞くと、バッターがイメージトレーニングをするためのイメージや娯楽用途かと思ったのですが、以下の4点があるそうです。

  1. 相手ピッチャーのピッチングのチェック
  2. 若い選手など経験が少ない選手が実戦経験を積む
  3. 怪我をしている選手に向けたイメージトレーニング
  4. 投手が自分のフォームを見ることで、コンディションをチェック

特にレギュラー争いなどにより実戦経験が積みにくい選手の育成という観点は面白いと感じました。

 

また、各種センサーを取り付けて、バッティングの様子をセンシングし比較すると行ったこともしていました。

 

 

 

 

試合中にこのようなセンサーを付けることは難しく、実験環境でしかデータを取れない点が問題だと思っていましたが、VRを使えば実践に近い状態でのデータ取得ができますね!

HMDのような大きな介入があることは否めませんが、より現場に意義のあるフィードバックができそうです。

■Mobility and Inclusion/産総研

オリンピックだけではなく、パラスポーツに関するセッションがありました。こちらは義足アスリートのバイオメカニクス研究について。

 

僕も大学時代はバイメカをかじっていましたが、専門的なバックグラウンドがなくてもわかるような軽快なトーク力と、全体の構成はさすが!!という感じでした。

 

今回お話された保原さんの所属グループはデジタルヒューマン研究グループ。

様々な製品(義足の場合は硬さや形状など)を実際に作るのではなく、コンピューターシミュレーション上でモデリングし、その挙動を確かめながら製品開発に役立てているそうです。

こうすることで、義足そのものの評価ではなく、人間と一体化した上での最適化を目指していると仰っていました。

 

さすが産総研!難しそうなことをやってるなーとは思うのですが、やはり義足ランナーのデータをたくさん取得するのは難しいとのこと。

そこで、Youtubeからレースの動画を検索し、各選手が何歩でゴールしたかを目視で数え、レースの公式情報と紐づけてデータベース化するといった泥臭いことも一方ではしているそうです。。。

義足ランナーの100m走の世界記録はどんどん速くなっており、50年後には健常者の記録を追い抜くのではないかと予測していました。

 

短距離走よりもその傾向が顕著なのが走り幅跳び。マルクス・レーム選手は、世界選手権で8m40cmを記録。これはリオ五輪優勝者の記録を上回っているのです。

また、先日行われた大会では自身が持つ世界記録を更新する8m47cmを記録。これは健常者でいうと今季3位のものというほどの記録、、、

パラリンピックでは敵なしの彼はついにオリンピックの出場を公言。物議を醸しました。

 

なお、少し脱線しますが、義足選手がオリンピックに出るためには、

義足を使うことが有利には働かないということを自分で立証しなければならないとのことなのです。(これは厳しい、、、)

 

保原さんによると、やはり義足選手と健常者選手の走り幅跳びの動作のメカニズムは大きく異なるとのこと。。。

地面反力の経時変化を比較。グラフの形状が大きく違います。

 

こちらはエネルギーの観点から。義足の選手はほぼ膝下(=義足)から跳躍のエネルギーを得ています。

ただし、この結果に基づき、義足を履くことが有利であるとは言えないそうです。

現に跳躍のときは有利といえるかもしれないが、その前段階の助走に関しては明らかに義足のほうが不利とのことで、トータルではどちらが有利なのかはわからないそうです。

 

義足がテクニカルドーピングとなるか、ノーマライゼーションとパラリンピック選手がオリンピックに出ることの関係はどうあるべきか?引き続き議論の余地がありそうです。

 

オリンピックとパラリンピックの優勝者の距離のグラフ。パラリンピック選手の記録のあがり方がすごい

ちなみにこのあたりの研究は、ミラクルボディで取り扱われたそうですので、是非チェックしてみてください。

■あとがき

日本でもこのような世界規模のカンファレンスが開催されるようになってきたことは非常にいいことですね!

最近英語学習ばっかり投稿していますが、少しずつスポーツやアナリティクスの記事も載せていきます!(論文紹介とか実装とかやりたいけどまだできてない、、、)

ABOUT ME
@hironowa_ru
修士まではスポーツバイオメカニクスを専攻。新卒で総合スポーツ用品メーカーに入社し、デジタル分野の新規事業開発に従事。現在は日本代表選手団に向けた映像分析サポートを行っており、大学院でコンピュータビジョンの観点からスポーツ映像解析の研究を行っている。
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