フィギュアスケート

元フィギュアスケート選手とディープラーニングの華麗な出会い 〜夢のない現実的なお話〜

4月12日(金)にITmedia様にて自身のインタビュー記事が公開されました。

(大変恐縮です。そして元選手という肩書は本当に恥ずかしい。)

想像以上の記事内容と量、そして想像以上に多くの方に読まれているようで、内心めちゃくちゃビビっています。

 

このような機会を頂けたことはすごく光栄な一方で、いわゆるAIなどについて詳しくないファンの方に過度な期待を抱かせてはいけないと思い、この記事を書いています。

 

 

まずはじめに断っておきたいのは、実応用なんて話題にできるレベルの結果では到底ないということです。加えて、今のアプローチでこのまま続けていても思い描いているものはできないという自覚もあります。(というか最初からそのつもりです。笑)

 

引き合いに出される体操の例は、大企業と国際連盟がタッグを組んで多くの時間、金、工数を割いて取り組んでいるものです。

データ取得も理想的な環境で行われているでしょう。加えて多くの専門家の知が重なり合って実現を目指していると思います。

 

 

対して僕自身は”AI”の専門家でもなければ”天才”でもありません。興味を持ってちょっと勉強をし始めた単なる一社会人です。

あのレベルを目指すのははっきりいって無謀すぎます。その辺の自覚は持ってます。

 

でも、何もできないわけでもないと思う。なんだったらできるのだろう?これだったらできるのではないか。というように考えてとりあえずやってみたのが今回の取り組みです。

表に出すには早すぎたのかもしれません。そのあたりがインタビュー中の返答で曖昧だったのかもしれなかったことを反省しました。

 

昨今のAIブーム、そして体操の取り組みを含めてスポーツでも多くのAI活用の事例が出てきたこともあり、AI自体に対する期待も高まっています。

記事中で書かれていたように、僕自身も、もともと選手の競技力向上に寄与できる研究をしたいと思っていた身なので、フィギュアでAIを使ってみたら何ができるかなという興味は抱いていました。

 

フィギュアスケートではとかく採点を問題視する声が大きいです。はっきりいって難しいです。曖昧な部分もあるでしょう。納得いかないケースもあるのかもしれません。

そして、このAIブームと体操の取り組みも影響してか、現在のジャッジを批判し、(AIについてその中身はよくわかっていないけど)フィギュアでもAIを導入しろ!!と、安易に言う人が増えてきた印象を持ちました。

 

もし体操のように大々的に研究をやるとなれば、多くのコストをかけなければなりません。

すごく大変なことだと思いますし、できるかどうかもわからないのですから、安易に着手というのも難しいでしょう。連盟にいますぐやれ!というのも無責任な話です。他にやったほうがいいことはあるかもしれません。

 

一方で、ある現役のジャッジの方からは『機械では絶対できません。ジャッジングセミナーでもそういう話をされています。』

という意見も伺いました。たぶんフィギュアでは無理だと思う。っていう意見の方もファンの方にはいるようでした。

その意見はもしかしたらそうかもしれないけど、試してみたことあるのかな?っと。

 

なんというか。。。

この現状が個人的にすごく嫌だったんですよね。笑

 

だったら、ミニマムでやってみて、そこから判断すればいいんじゃない?と。AIAI言うけど今のAIに何ができるのかどこまでできるのか本当に知ってるの?っと。

 

そんな感じで、自分もAIの可能性について知りたいし、まぁじゃあやってみるか!、っと去年から始めた次第です。

 

もちろん体操でやっているように、まず正しい動きとは何かを定義して機械に覚えさせるなんてことはできません。このアプローチは無理です。

データだって放映映像くらいしか一般人には手に入りません。

そのため、試合でジャッジが行った結果を正解としたときに、それを機械に覚え込ませることはできそうなのか?という方針にしました。

そして、とりあえず今ある論文の中から似たようなものを探して(といっても国際会議の中でもトップカンファンレンスと呼ばれているところで発表されたものを使っています。)、真似してやってみたよー程度で発表したのが今回の内容です。

期待させてしまった場合はすいません。。。

 

イベントで表に出してから、データ分析に詳しい方からデータセットの公開はしないのか?というお話を伺いました。

自分が作ったデータセットを公開すれば僕よりも遥かに詳しいデータ分析のスペシャリストがこのタスクに挑んでくれるようになります。

もっと精度が高くなったり、もっとこういうデータであれば精度が出るかもしれないという意見も来るかもしれません。

これも一つの狙いです。そして狙い通りフィギュアスケートに興味がない方であっても、このタスクに興味を持ってくださることがわかりました。(データセットは研究の進捗とともに公開予定です)

 

他にも、連盟を含め企業など多くの方が取り組みに興味を持てば、もっといい環境で一緒に取り組むことができるかもしれないと思ったことも狙いの一つです。

 

実際にアメリカでは連盟と大学がタッグを組み、障害予防のためのウェアラブル端末を作っていたり、靴にセンサーをつけ、ジャンプの着氷のときにかかる力の計測などを行っているそうです。

英語で論文を出せばこのようなところにも興味を持っていただけるかもしれない。というかこの辺の研究も興味あるからぜひ中に入っていきたいなと。

 

そんなことを考えて少しずつ表には出そうと思っていた次第でした。

 

ということで、つらつらと書いていきましたが、良くも悪くもおおよそこのような考えで取り組んでいますよーというお話でした。

 

ABOUT ME
@hironowa_ru
修士まではスポーツバイオメカニクスを専攻。新卒で総合スポーツ用品メーカーに入社し、デジタル分野の新規事業開発に従事。現在は日本代表選手団に向けた映像分析サポートを行っており、大学院でコンピュータビジョンの観点からスポーツ映像解析の研究を行っている。
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